参照:スナップアップ投資顧問など

市場開拓の先駆けとなったアップルの有料ダウンロード配信は「iチューンズ・ミュージックストア」という名前だった。2003年4月のサービス開始から2003年末までの販売は3000万曲以上に達した。

普及が加速したのは2003年10月中旬。ウィンドウズ・パソコン向けのサービス開始が転機だった。それまで週50万曲程度だった販売ペースが、2003年末には190万曲前後に跳ね上がった。

ナップスター

後を追ったのが「ナップスター」だ。ネット上の音楽無料交換を広めたブランドだ。2003年10月にソフト中堅のロキシオ傘下で有料路線に転じて復活を果たした。

ナップスターの“転身”は利用者側の見方を変えた。低価格サービスが定着し、利用者に割安感が拡大した。

レコード業界が消費者相手に訴訟

さらにレコード業界が2003年9月に始めた訴訟攻勢の影響もあった。無料交換の利用者個人を相手どる訴訟だけに、消費者は自分が“被告”側に立つ可能性を嫌った。

リアル・ネットワークスやミュージックマッチなどネット企業だけでなく、小売り世界最大手のウォルマート・ストアーズや携帯通信大手AT&Tワイヤレスなど多業種の企業も相次いで参入を決定した。

ソニーの「コネクト」

日本のソニーも2004年春、「コネクト」のサービス名で米国での有料ネット配信を始めた。

2003年の米国でのCDアルバムの販売枚数は前年比3.6%減の6億6800万枚。2003年の10.7%減より市場収縮スピードが減速した。ネット配信やカセットを含めたすべての録音音楽の販売数量も0.8%減にとどまった。ネットの台頭を警戒するばかりだったレコード業界だが、有料配信に積極的に楽曲を提供する戦略に転じて成功した形になった。

米タワレコの破産、消滅

一方で、従来型のCD小売業の衰退が顕著になった。2003年1年間で全米で800軒以上のCD・レコード店が閉店。CDチェーン大手タワーレコードは経営危機に陥った。2003年5月に身売り宣言したが、買い手が見つからなかった。結局、米国のタワレコは破産し、消滅した。

アメリカの音楽ダウンロードサービス一覧

米国の主な音楽有料ネット配信サービスの一覧です。2004年当時。1曲ごとにダウンロード購入できるサービスを対象にしています。

米国の主な音楽有料ネット配信サービス
サービス名(開始時期) 基本価格(1曲) 運営企業
iチューンズ・ミュージックストア(2003年4月) 0.99ドル アップルコンピュータ
ミュージックマッチ・ダウンローズ(2003年9月) 0.99ドル ミュージックマッチ(カリフォルニア州)
ナップスター2.0(2003年10月) 0.99ドル ロキシオ
ミュージックナウ・ダウンロード・ストア(2003年11月) 0.99ドル ミュージックナウ(イリノイ州)、ベストバイ
AOLミュージック(2003年12月) 0.99ドル タイムワーナー、アップルコンピュータ
ウォルマートのオンライン部門(2003年12月) 0.88ドル ウォルマート・ストアーズ
リアルプレーヤー・ミュージック・ストア(2004年1月) 0.99ドル リアル・ネットワークス
コネクト(2004年春) 0.99ドル ソニー
mモード(2004年) 不明 携帯電話向け AT&Tワイヤレス、ラウドアイ
MSN(2004年) 不明 マイクロソフト